熱帯魚飼育に必要な器具について


(1)水 槽

 熱帯魚飼育の基礎となるのが水槽です。水槽には、ガラス製とアクリル製の2種類が一般的です。
ガラス製の水槽はアクリル製に比べ、傷が付きにくいというのが特長です。
ガラス水槽の中でも、最も普及しているタイプの水槽が、5枚の板ガラスを枠にはめ、シリコン系の接着剤で接着した総ガラス水槽です。
規格品で用意されているサイズは、幅30cm、幅36cm、幅45cm、幅60cm、幅90cm、幅120cmと、バラエティに富んでいます。中でも幅60cm×奥行30cm×高さ30cmのサイズが一番多く生産されている為、価格も入手し易いものになっています。また、このタイプの水槽には、水槽に合わせて作られた上部フィルターや蛍光灯などが用意されており、セットで購入すると使いやすくなっています。
が、反面水槽自体の重さが重いのが短所です。幅120cmガラス水槽は水槽の重さだけで30kgになります。
また、ガラス水槽には水槽前面の左右に枠がないタイプの、インテリア性を重視した曲面水槽があります。これらも総ガラス水槽同様、上部フィルターや蛍光灯などがセットで購入できる為、価格的にも入手しやすいものが多くあります。

 次にアクリル製の水槽ですが、透明なアクリル樹脂の板で作られた水槽で、ガラス水槽より軽いのが特長です。が、表面に傷がつき易いのが短所です。しかし、衝撃に強いので、大型魚の飼育や、小さい子供がいる家庭で使用することに向いている水槽です。アクリル水槽の価格は、アクリル板の厚さや素材により大きく異なります。購入に際して特に注意していただきたい点は、接着方法です。ひどい製品になると、接着面からひびが入ったり、水漏れがする製品も有ります。
 当店では、幅60cm、幅90cm、幅120cmを規格品で用意しており、ガラス水槽同様、購入していただき易い価格に設定しております。が、決して粗悪な製品では有りませんので、安心してご使用いただけます。また、大きさや形を注文に応じて製作することも出来ます。まずお見積もりから承ります。
  







(2)水槽台

 水槽の大きさが決まったら、水槽を置く場所を検討していただきたいと思います。
ガラス製の水槽は、水槽に水を入れたときの重量を考える必要があります。
     幅60cmの規格水槽で、重量60kg
     幅90cmの規格水槽で、重量150kg
     幅120cmの規格水槽で、重量200kgが目安です。
 90cm以上の水槽を家具の上に置き続けると、水槽の重さにより歪が生じ、扉が開かなくなったりします。
大型の水槽を設置される場合は、専用の水槽台を使用されることをおすすめ致します。

 水槽台には、鉄製やボルトとナットで組み立てるアングル台のような安価なものから、インテリア性を重視した キャビネットタイプのものがあります。どちらを選ぶにしても丈夫でぐらつかないしっかりした作りのものを選んでいただきたいと思います。







(3)フィルター(ろ過器)

 フィルター(ろ過器)の説明をする前に、「ろ過」について知っておいていただかなければなりません。一言で言うとかなり無理がありますが、「ろ過」とは、魚の排泄物を浄化することです。
広い自然の中では、大量の水が常に動いているので、魚の排泄物などにより水が汚れることはほとんでありません。よって、熱帯魚にとって水槽という限られた空間は、全く異質な世界である事が分っていただけると思います。水槽内の条件を、より自然に近づけることが、飼育者の努めであると言えるでしょう。
その手助けをするのが、フィルター(ろ過器)です。熱帯魚を飼育する上で、最も重要な器具のひとつです。フィルターには、様々な様式、機能を持った物があります。
基本的には、“ろ過材”と呼ばれる“ろ過バクテリア”を繁殖させる材料に水を通過させることにより、水を浄化させます。その種類と使用方法をご紹介致します。

上部式フィルター  水槽の上部にろ過槽を置き、ポンプで水を送る方式のフィルターです。
最も広く一般的に使われている非常に使いやすいフィルターです。
 ろ過槽内に、専用のろ過材ウールマットをセットし、そこに“ろ過バクテリア”を活動させ、
それに水を通す事により水を浄化します。
 浄化した水を水槽内に落下させる時、水が空気と触れ合う為、自然にエアレーションも
行われる仕組みになっています。
外部式フィルター  ポンプを内蔵した円筒形の密閉式フィルターです。作動音が静かなことが特長です。
数種類のろ過材をフィルターに同時に用いる事により、
目的に応じた水を作る事が出きます。
 また、ろ過槽内に均一に水を送り込むことが出きるので、安定したろ過を期待できます。
 飼育水が外気に触れる事が少ない為、二酸化炭素キットを用いた水草水槽に最適です。
底面式フィルター  水槽の底にセットし、エアーポンプを使って水を循環させるフィルターです。
フィルターの上に、熱帯魚飼育用の砂(砂利)を4〜5cmの厚さで敷きます。
これがろ過材の役割をします。汚れた水が砂の中を通る時に、砂の中で活動する
ろ過バクテリアに触れ、水が浄化されます。
スポンジフィルター  40cm以下の小型水槽や他のフィルターとの併用に便利な、補助フィルターです。
水の吸込み口(パイプの下部)に付けられたスポンジにろ過バクテリアを活動させ、
エアポンプを利用して飼育水を循環させ水を浄化させます。
 主に、繁殖した稚魚の飼育水槽に多く用いられます。



 







(4)ろ過材

 フィルターに使用する“ろ過材”は、各メーカーが工夫を凝らして製造している為、購入する側はその選択肢が広くなっています。
どのメーカーも共通して言える事は、人工ろ過材の一粒一粒のサイズに比べ、表面積を大きくしている事です。表面積が増えれば、そこで活動する“ろ過バクテリア”の数が増えることになり、より大きなろ過効果が期待出きるからです。

 当店でおすすめする“ろ過材−バイオキャリア”は、超高密度多孔質のセラミックろ過材です。
バクテリアの繁殖に理想的な高密度の孔が確保され、一旦住みついたバクテリアは、流出・剥離しにくい構造になっています。連続多孔なので、目詰まりの心配がありません。
また、バイオキャリアは、新形状のサドル型になっています。独特の形状と表面の細かな凹凸により、ろ過槽内のどんな偏流も逃さず、水中の有害物質を確実にキャッチします。そして、セラミック素材のバイオキャリアは、水中で腐蝕することがない為、永久的にご使用いただけます。
表面に付着した汚れは、水洗いを行っていただくだけで大丈夫です。定期的なメンテナンスの方法は、お手持ちのオーブントースターなどで、数10分間加熱していただきますと、新品同様の清浄性能がよみがえります。
 ろ過材を購入される際は、飼育する魚とろ過システムを考え、最も適したものを選んでいただきたいと思います。

  







(5)底砂

 水槽の底に敷く砂は、水槽内の飾りのような感が強いですが、ろ過材としても効果を発揮し、また、水質を安定させる働きもあります。
 鑑賞魚用に最も普及しているのが、大磯砂・南国砂です。多くの熱帯魚に飼育できる砂です。
大磯砂に比べ粒が細かいのが硅砂(けいさ)です。長時間使用していても水質を良好に保てるのでシクリッドなどの飼育に適しています。
 サンゴ焦域の海岸で採取される砕けたサンゴの砂は、水質を弱アルカリ性にする働きがあります。その為、海水魚の飼育に使用されることが多いですが、淡水魚のアフリカンシクリッドや汽水域に生息する魚の飼育にも適しています。サンゴ砂の粒の大きさは、骨サンゴと呼ばれる大粒のもの(これは、主にろ過材として使用されます。)
あずき大の粒のもの、 小粒のもの、  パウダー状のものの4種類があります。
 その他、水草の育成が普及するにつれ、その栽培に適した底砂が数多く販売されています。







(6)保温器具

 熱帯魚は熱帯域に生息する魚なので、晩秋から早春にかけての水温が低下する時期は、水槽内の温度を25〜28℃に保つ必要があります。その為に必要な器具が、ヒーターとサーモスタットです。
ヒーターの能力はW(ワット)で表示され、水槽の大きさや水量により適切な容量が決まっています。水量に合わない小さな容量のヒーターを使用すると、ヒーターが作動し続けるので、故障の原因になります。
勘違いされる方が多いのですが、ヒーターには水を温める機能しかありません。直接コンセントに差し込むと際限なく水温が上がってしまいます。必ずサーモスタットと併用し、使用方法や容量を確認した上でご使用いただくようお願いします。また、サーモスタットも、ヒーターの容量に合ったものをご使用下さい。

 最近では、ヒーターとサーモスタットが一体化した“オートヒーター”と呼ばれるタイプが、人気があります。これは、ヒーターとサーモスタットをセットする煩雑な手間を省けるのと、水槽回りのコード類がすっきり出きるのが特長です。特に、熱帯魚飼育初心者の方には“おすすめ”です。
しかし、ヒーター部分が壊れると、その部分だけの交換が出来ないので、使い捨てになるのが短所です。

 また、従来の“ヒーター”や“オートヒーター”は、水面より上に上がっても熱を放出し続けていたのですが、最近では、水面の上に上がると自動的に通電が止まる空焚き防止機能が付いた製品が一般的になっています。
これらの商品は、少し高価になりますが、安全面を考えるならこれらの商品が“おすすめ”です。

 ヒーターとサーモスタットを使っていても、水温が一定に保てているかどうかを確認する必要はあります。
特に外気の温度差が激しい時期には、サーモスタットの温度設定を25℃にしていても、水温に差が出ている事があります。そんな時に役に立つのが、水温計です。
安価なものからデジタル式の高価なものまでありますが、魚の健康を保つ事はいうまでもなく、ヒーターの故障の早期発見にも役に立つので、水槽1本に1個は用意していただきたいと思います。







(7)照明器具

 太陽光線は自然の中では生き物にとってなくてはならないものです。が、水槽内の閉鎖された環境では、水温の上昇やコケの発生を招き、マイナスになる事が多くなります。その点、鑑賞魚用に考えて作られた照明器具は、問題なく使用できます。
蛍光灯のサイズ(横幅)は、30〜120cmと、規格水槽のサイズに合わせて市販されています。
蛍光管は、1本セットする一灯式、二本セットする二灯式、三本セットする三灯式と、自分の水槽に合わせて選ぶ事ができます。最近では二灯式が一般的になっています。
 光源となる蛍光ランプには、白色だけでなく、自然の海の青さを再現する蛍光ランプや、太陽光を再現した蛍光ランプなど、水槽内をよりきれいに見せる工夫がなされています。







(8)その他(アクセサリー・便利グッズ)

 熱帯魚を飼育していて、「こんな商品があれば良いな」と思う事がよくあります。特に照明の照射時間は、一日10時間程度を規則正しく照射するのが、魚や水草の成長に最も良いと思われます。が、毎日規則正しく照明のON・OFFが出来ないのが現状です。
そこで、合わせた時間に照明をON・OFFしてくれる優れもの “タイマー” があります。
特に照射時間に影響されやすい水草やサンゴの飼育には、大変役に立つグッズです。

 また、餌の量を間違って与えると、食べ残しの餌により水質の悪化につながります。そんな単純なミスが起こらない為に、“自動餌やり器”が用意されています。
 これらの商品は、長期の外出時にも大変便利です。
次に“なくてはならない”とまでは言わないけれど、あって便利なグッズが、下記のグッズです。

商  品 特   徴

ネット

魚の移動や水槽の清掃の時に便利です。

エアーポンプ

底面フィルターやスポンジフィルターを使用するときに不可欠な器具です。
魚の病気を治療する時に必要になるので、エアーチューブ、エアーストーン、
ジョイントと合わせて用意しておくと良いでしょう。

ガラス蓋

魚の種類によっては水槽から飛び出す魚もいます。
飼育水の蒸発防止にも役立ちます。

底砂クリーナー

底砂の中に溜まった汚れを、砂利を吸い出すことなく除去できます。

流木

水槽内をレイアウトするには欠かせない天然のアクセサリーです。
産卵期には、魚の隠れ家や産卵場所になります。



 その他、水質を熱帯魚が飼育出来る環境に瞬時に整える事が出きる添加剤は、揃えておくと便利です。
水換えの水量を間違えた時にもあわてずにすみます。

商  品 特   徴

テトラ社のコントラコロライン

水道水の塩素を中和する液体の中和剤です。

テトラ社のアクアセイフ

水道水に含まれる微量重金属を無害化し、魚の粘膜を保護します。

HAGEN社のサイクル

水槽内のろ過バクテリアの不足の補います。